10月19日(金)〜11月4日(日)
J.P. ホル
FORGOTTEN
ミクストメディア

12:00-21:00(最終日は17:00まで)|火曜休廊

オープニング・レセプション|10月18日(木)19:00-21:00
パフォーマンス:吉福敦子|コンテンポラリー・ダンス

 

 

 オランダ人アーティスト、J.P. ホルは、オランダでマスメディアを学んだ後、イタリア・ミラノへ留学し、装飾について学ぶとともに、アーティストとして精力的な活動を始めました。
 絵画、オブジェ、本、切り絵、映像、インスタレーションなどさまざまな手法を通じて自らの空想世界を表現してきたホルの作品は、おとぎ話のような豊かなストーリー性に満ちています。しかし、一見ユーモラスでかわいらしい彼の作品は、観る者に不安な気持ちを駆り立てます。カラフルなミッキーマウス・ハットを被った剥製たち、ネズミ人間たちの軍隊、何かを厳しくみつめる内省的な人物画……。ホルの作品の根底に流れるテーマ、それは人間の欲望です。彼はこう語ります。
「人間はあらゆるものをコントロールしようとする。生命を謳歌する動物を殺して剥製にし、ミッキーマウスのように動物を擬人化して自分たちのイメージにはめ込む。その一方で人間は、自分らしく生きたいと望みながら、集団社会に属することにあこがれを抱く。人間はつねに逆説的な矛盾に囚われている」
 ホルがその作品の多くで注目しているのは、屋根裏部屋でほこりをかぶった鳥や小動物の剥製、クロゼットに仕舞い込まれたおもちゃといった、見捨てられたものたちです。人々の欲望を満たすために生まれながらも、時の流れとともに隅に追いやられ、ほこりをかぶり、そして必要のないものとして忘れられたものに、ホルは光を当てます。誰ひとりとしてその存在を覚えていなくても、人間の欲望によって生み出されたものが、ひっそりと、でも確実に存在していることを信じて。
 10月19日から開催される J.P. ホルの展覧会『FORGOTTEN』で、彼が会場に選んだのは江戸時代末期に建てられた土蔵を再生したアートスペース、ギャラリー・エフです。関東大震災、東京大空襲、そして都市開発の波にさらされながらも生き残り、ビルの谷間で息をひそめて立つこの建物に、ホルは自らの空想世界の広がりを感じました。
「今回の展覧会は、人間の世界が目を向けなくなってしまったもの、そう『忘れ去られたものたち』へ捧げるもの。輝きを失っても、まだ存在し続けるものたちは、力強く、そして堂々と、息をし続けているのです。時の流れに取り残された建物の存在感を最大限に引き出しながら、観る者をウサギに導かれたアリスの世界へと誘ってみたい」
 『FORGOTTEN』は、ホルにとって東京での初めての展覧会。剥製作品や切り絵、段ボールハウス、そして短編アニメーション作品によってインスタレーションを構成します。
 なお、東京での展覧会に先立ち、大阪の現代美術ギャラリー studio J では映像作品の展覧会「HARDSHIP」が10月6日より開催されます。

 

情報掲載:装苑
インタビュー:モノマガジン



後援|オランダ王国大使館 supported by Embassy of the Kingdom of the Netherlands
協賛|

J.P. ホル(Johan Peter Hol)プロフィール
1964年、オランダに生まれる。1990年にオランダ・ユトレヒトの Mass Media を卒業した後、イタリア・ミラノの the Accademia di Belle Arti di Brera で Vincenzo Ferrari に師事し、装飾について学ぶ。イタリア、オランダ、スウェーデンなど欧州各国で数多くの個展、グループ展を開催。2005年には日本での初個展「Secret Garden」(Studio J / 大阪)を開催。現在、ミラノとアムステルダムに拠点を置きながらアーティストとしての活動を続ける。

J.P. ホル 大阪展『HARDSHIP』at studio J

会期|2007年10月6日(土)〜20日(土) 開場|13:00-19:00
休廊|日・月 入場|無料
所在地|〒550-0013 大阪市西区新町3-14-8 tel /fax|06-6110-8508

屋根裏のクロゼットで
開かずのおもちゃ部屋で
なくしたまま探されず
用がなくなって
ほこりをかぶって忘れられ
どこかみすぼらしく
どこかいびつで
ちょびっと壊れていて
目に留まることもなく
光が当たることもなく

世界中から忘れられてなお
堂々と顔を上げ
最後の息をひそめて立っている
たからものたちへの賛辞

FORGOTTEN|J.P. ホル