身体はひとつの小宇宙である
人の手のなかには、天と地が存在している
食は体を育て、美は精神を育む
見えるものと見えないものとの融合
食と美術の融合

張少俊(中国・アーティスト)

 


 

エフでは、張少俊による風水のアドバイスを得て、
美と食の融合をテーマにしたメニューをお楽しみいただいています。

 


 

その4
2006年1月〜

新年のお茶
大紅袍(だいこうほう)
1,200yen

産地◎中国福建省武威山
岩茶(岩地でできるお茶)の最高峰と称され、
様々な逸話を持つ伝説のお茶。
道教では、陰と陽の中庸をゆく究極のバランスが尊ばれます。
香り、味、色、すべてにおいて完璧な
バランスを持ったお茶、「大紅袍」をお楽しみください。

(現在は販売していません)

 


 

 中国の清の時代、八百種を超える名茶がありました。それぞれのお茶には、それぞれの美しい物語や伝説がありました。大紅袍は、仙人が植えた木と伝えられ、今では岩茶の王様として君臨しているお茶です。

 その昔ある若者が、都へ科挙の試験へゆく途中の山で倒れてしまいました。そこへ通りかかった僧侶が若者を寺につれてゆき、九龍巣の岩壁に生えるお茶を煎じて、若者に与えました。するとどうでしょう。お茶を飲むと不思議なことに、体は健康を取り戻したのです。そのうえ、若者の頭はとても明朗かつ鋭敏になり、都での科挙の試験にも合格したのです。
 若者は、寺へ戻り感謝の気持ちを伝えました。そして、そのお茶を持ってまた都へと戻りました。都では、皇后が病に臥せっていましたが、その持ち帰ったお茶を飲むと、次第に体が良くなっていきました。皇帝はたいへん喜び、若者に褒美を与えました。
 若者は九龍巣の岩壁へゆき、褒美にもらった紅色の絹の衣を茶樹に掛け、手を合わせて拝みました。すると、その樹は突然、紅色の光を放ち、輝きはじめたのです。こうして、その茶樹は“大紅袍”と呼ばれるようになったのです。

 現代では、大紅袍は大切なときに飲むお茶とされています。それはこの伝説の若者のように、自分の生まれた土地を離れ、難しい試験に挑むときかもしれません。気持ちを新たに、前へ進む。そんなときに飲むお茶なのです。
 
 大きな門のドアを開け、まばゆいばかりの紅の光が広がるような深く芳醇で、活気に満ちた香りの大紅袍とともに、新しい年の始まりをお楽しみください。

 


 

その3
2005年9月〜

秋のお茶
黄金桂(おうごんけい)
1000yen

産地◎中国福建省武威山
種類◎岩茶
熱いお湯でいれ、香りを楽しむお茶です
(現在は販売していません)

 


 

 月を愛した旅の詩人、李白。酒に酔って水面の月を取ろうとして溺れ死んだという伝説が残るほど酒好きと言われる彼にとって、お茶も同じようにたいせつなものでした。中国の文人たちはお茶を通して宇宙と精神のコミュニケーションをしていました。お酒で体は酔っていても、お茶の成分は意識を覚醒させてくれます。澄んだ意識と感性に映る世界こそが、真理だったのかもしれません。李白は水面に何を見たのでしょう?

 秋のお茶「黄金桂」は、半発酵の岩茶で、甘くかすかなミルクの香りを持っています。茶葉は厚く、冬を越える準備のためにエネルギーをたくわえる秋が最もおいしい時です。
 「黄金」は皇帝、財力、権力、そして月を意味します。「桂」は月の宮殿に唯一咲く植物とされているキンモクセイ。「桂」は中国語で「貴」と同じ発音を持っています。このふたつの言葉を組み合わせて「権力より貴いもの」という意味が読み取れます。月の宮殿を思い浮かべるとき、目に見える豪華さではなく、そこにただよう香りを感じることのできる人こそ高貴な人である、と文人たちは考えます。
 様々に個性的な強い香りを持つ他の岩茶と比べると、黄金桂の香りはけして強いものではありません。甘くほのかなミルクの香り。ミルクは、女性が命のもととして与えるものです。月の宮殿の主はキンモクセイのほのかな香りのように、内に秘めた強さと内面から香る美しさを持つ成熟した女性なのでしょう。

 李白が旅の途中好んで飲んだのが黄金桂と言われています。李白は、水面に現れた美しい女性に手を伸ばそうとしていたのかもしれません。永遠に手の届かない高貴な女性に捧げた李白の死は、詩人的なロマンチックな死としてとらえられ、彼は「詩人」から「詩神」となったのです。
 真理を知ったなら命を捧げてしまうかもしれない、ロマンチックで緊張感のある秋の夜の危険な香り。満月を心に浮かべ、月の宮殿の香りをお楽しみください。

 


 

その2
2005年5月〜

春のお茶
碧螺春(ピロチュン)
1000yen
(現在は販売していません)


中国の蘇州、洞底東山で摘まれる緑茶。
春分から清明節の間(3月21日から4月5日ごろ)に、
ひとつひとつ手で摘まれた有機栽培の茶葉です。
75度から80度のぬるめのお湯でいれます。

 


 

純粋で、複雑な春 春は、命が咲き、花がうまれ、さまざまな匂いが溶けあうとき。そして、雨が降ったり、暖かくなったり、急に肌寒くなったり。とても不安定な季節。でも、その不安定さは同時に、たくさんの可能性がいたるところに存在することを伝えてくれる。それは純粋な女性のよう。
純粋な女性ほど、不安定で、複雑なのかもしれない。
感じやすく、繊細で、その時々で喜んだり、悲しんだり、やわらかい気持ちはつねに姿を変えてゆく。男性たちは、そんな純粋な女性の心を扱いづらいと嘆く。
でも、それは春の空に文句を言うようなもの。純粋な女性は、やわらかい心に、春の空気のような色とりどりの匂いを持つ。
その匂いに棲む、かわいい複雑さと未知の可能性を味わう余裕があれば、男性にとっても楽しいはず。

春にかすかに香りをひらく、やわらかい女性のような、碧螺春。
なにかうずうずとするような、霞の中のあざやかな緑色のお茶。
あなたのこころの中にある春の可能性をお楽しみください。

 


その1
2005年2月〜

悲しくて美しい花
メイクイ花茶

メイクイ花をジャスミン茶で包んだ工芸茶

(現在は販売していません)

 

メイクイは、大人になれない女性のような花 その薄紅色のつぼみは、温室育ちのバラのようにあでやかで、野に咲く花のように、あまくてやさしい香りを放つ。風邪が吹きつける、やせた土地で、力強く根を張り、自然の気を全身で受けとめる花。だから彼女の傷だらけの身体には、強くあたたかな陽の気があふれ、すべての生命をひきつけている。そして、自分の身体をそぐように、彼女はその陽の力で、わたしたちの冷たくなった心や体をあたためてくれる。 つぼみに蓄えられた陽の気は、身体の内と外を美しくする力を持っている。あたたかな香りは、心をやわらかにし、緊張や不安を消してくれる。やさしい色の花びらからつくられた染料は、女性の爪を薄紅色に染め、自分を信じることをおしえてくれる。

すべてを捧げて、あたたかさをくれる花。彼女は自分が削られていることを知っている。でも少女のようにまっすぐに生きている。気取った大人にはなれないけれど、彼女のまわりには関係があふれている。自然や生命、あらゆるものとのつながり。
メイクイ花茶で、あなたの頬が薄紅色に染まるように、彼女は、あなたの心を染めてくれるはず。


 

プロデュース/書/画
張少俊

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