What do you wanna see?
ナニガミタイ?

 ギャラリー/カフェ・エフでは、地下鉄浅草駅通路にある電光掲示板への広告掲出に当たり、この写真をデザインに使用しました。東京都交通局から、若い女性の服装とタトゥーが「性差別、人権侵害、名誉毀損」に当たるとして、掲出を却下されました。写真を修正して女性に洋服を着せれば許可する、ということです。

 私たちはこの写真を、若者からお年寄りまで、国籍や見かけを超えてコミュニケーションを創造する空間(主にカフェ)のイメージとして選びました。若い女性は、性的な意図を持って水着(交通局からは水着と規定されましたが水着ではありません)を着ているわけではなく、タトゥーもピアスも彼女の人がらの一部ととらえました。この写真の持つイメージのままで、彼女がもともとTシャツを着ていたとしても、私たちはこの写真を選びました(裸だったらあえて選びませんが)。まず写真の完成度が第一にあり、私たちのテーマはあくまでこの年代を超えたあたたかく楽しい人のコミュニケーションです。

 もちろん、規則が必要なのはわかりますが、あまりにも「性差別、人権侵害、名誉毀損」というイメージからかけ離れて感じるため、何も考えず取り下げるのではなく、より多くの方と意見を交わせられる機会になればと思い、ここに掲示しています。現在、東京都とも話し合いの機会を持つべく交渉中です。エフの女性スタッフ20代〜50代の5名全員が、何の迷いもなくこの写真に好感を持ちました。この微笑ましい光景から見えてくるのは、女性の胸とタトゥーでしょうか?

2005年2月

現在カフェには大きくプリントした写真をかけています。
「好き、エフらしい」と
「不快、女性差別だ」の
どちらかに白と黒のピンで投票してください。

2005年5月


copyright: Gerhard Klocker
この写真の著作権は作家ゲルハルト・クロッカーに帰属します。
無断での使用、複製は固くお断りいたします。



エフでは、広告のデザインが却下されたことをうけて、疑問に思うことをまとめて、仲介する広告代理店を通じて東京都交通局に以下の質問を投げかけました。得られた回答の文章(以下)は広告代理店の方がまとめたものです。

 今回、私どもが掲出を依頼した広告が「関東交通広告協議会」の審査基準(http://www.train-media.net/rule/index.html)に触れ、交通広告としては適切ではないという決定をいただきました。その決定について不明な点がございますので、以下の質問事項につきまして、書面にてご回答いただけますでしょうか。

1)広告の審査について
 今回、ギャラリーエフが掲出を依頼した広告は以下の規制の対象という指摘を受けました。

[4] 人権侵害、名誉毀損、性差別
* 商品と無関係のセミヌード女性を添えた広告(性差別)

質問1: 当該の広告が「性差別」にあたるとのことですが、それぞれの言葉について、どのような定義をされているかを教えてください。

回答: 担当者が大局的な見地で一般的な解釈をしている。

質問2: 当該の広告が「 商品と無関係のセミヌード女性を添えた広告(性差別)」に該当するとのことですが、カフェの広告においてカフェで談笑する女性がなぜ「商品と無関係」なのでしょうか? その理由をおしえてください。

回答: 一見した感じが、公共的な場所(駅構内)にそぐわない。

質問3: 「セミヌード女性」の定義を教えてください。

回答: 水着姿か、セミヌードかの判断は個人的な主観による。

質問4: 「 商品と無関係のセミヌード女性を添えた広告」がなぜ性差別にあたるのか、その理由をおしえてください。

回答: 不特定多数のお客様がいるところで、水着姿で食事しなければいけないのか、現状の日本では一般的な生活スタイルと合致しているとは言えない。

質問5: 当該の広告が「 商品と無関係のセミヌード女性を添えた広告(性差別)」に該当するか、どうかを判断するために、どのような方々が、どのような会議で、どのような方法を経て審査されたかを教えてください。

回答: 関東交通広告協議会(関東地区鉄道11社)の「広告掲出審査判断基準」における広告掲出基準の統一見解を使用し、複数の広告担当者が「広告掲出審査判断基準」に照らし掲出許可判断する。

2)他の広告について

質問: 関東交通広告協議会に参加する鉄道会社の駅構内および電車内には女性の肌を露出した広告が掲載されております。そのような広告が掲出を許可され、ギャラリーエフが掲出を依頼しした広告が規制の対象になるとしたら、その違いはどこにあるかを教えてください。

回答: 実際の審査は各鉄道会社単位で行われるため「内容と解釈の運用」は鉄道会社毎に異なることがあります。又掲出媒体によって運用の基準が異なることがあります。東京都交通局は公営交通機関であることから、乗客が快適にご利用なられるよう、判断解釈している。


エフに寄せられたご意見

【20代/女性/2005年2月24日】
初めまして。私は浅草の近くに住む大学生です。
ホームページの緊急アンケートのお話、興味深く拝見しました。
私個人としてはトップページの写真はエフさんの雰囲気やコンセプトをよく表していて、お店の顔として打って付けだと思います。見ていて心の和むようなこの写真に非常に好感が持てました。
そんな写真が、訴えている意味とは全く逆の性差別や人権侵害を理由に許可されないとはとても残念です。
しかしそれは本当にこの写真の良さが伝わっていないためなのでしょうか。この写真に見えるものが女性の胸とタトゥーだけだとは思えません。
きっと東京都交通局の方もこの写真の意味するところを分かってくださると思います。本当に良い写真です。しかし、規則として仕方のないことなのかもしれません。この写真に写っている女性の服もタトゥーもピアスも彼女の人柄の一部ととらえられるので許可する、ということになると、今度はそれが都で本来取り締まれるべき「性差別、人権侵害、名誉毀損」を含む広告の逃げ道になりかねません。そのような理由から許可できないのではないのでしょうか。それを規則に沿ってうまく表せなかったため「性差別、人権侵害、名誉毀損」といっただけの言葉になってしまったのではないでしょうか。
本当ならば公共の場での表現に規定など作らず、一人一人のモラルによって秩序が守られていくべきなのだと思いますが、そうも行かないのが悲しい現状です。もっと社会全体のモラルが向上し、自由で、良い表現が広まるよう願います。

エフからのお返事【2005年2月24日】

こんにちは。ギャラリー・エフです。
緊急アンケートについてのご意見、どうもありがとうございました。とても理性的なご意見。
私たちも、規則が必要なのはわかるのですが、この判断に対して、車内に氾濫している性を売り物にした雑誌の広告がなぜ許されているのか理解ができず、「だからうちも」ということではなく単純に何がどうしてこうなるのか、考えてみたいと思いました。
東京都のアート支援ホームページを管理している生活文化局にも問い合わせたのですが、役割が分かれているため規則も分かれていて横のつながりでは話し合えないというお返事でした。残念ですよね。
この写真を撮った作家を含め、ヨーロッパではこの珍事件に衝撃を受けています。ヨーロッパではこのような問題を(この作品が問題になることはまずあり得ませんが)すぐみんなで話し合える土壌があって、そこは見習いたいところです。「規則だから」という解決だけではなくてね。規則だって時代に合わせて変わっていくものだし。
浅草線からA5出口に向かうエスカレーター手前に黄色いドラえもんの看板があります。そこがエフの看板予定地。認められないものは出せませんし、かといってタトゥーを消したり洋服を着せるつもりもないので、きっと看板はかからないと思います。あそこを通ったら、この写真がここにあったら、と想像してみて下さい。私は、きっとみんな明るい気持ちになるなぁと思って通っています。
この写真が伝えているように、若者からお年寄りまで楽しめるコミュニケーションの場所として、これからもみなさんといっしょにエフを育てていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。

 


 

What do you wanna see?
ナニガミタイ?

同じ時期に地下鉄銀座線浅草駅構内に貼られていたポスター

車内の雑誌広告

車内の雑誌広告

通行人が見たくない物を(強制的に)見せられない権利、とのことですが、
駅構内よりも閉ざされた空間である車内では、
明らかに性を売り物にしたイメージが満載です。

 


 

<裸祭りポスター>JR東が「待った」…女性が不快感
2008年1月8日2時32分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080108-00000012-mai-soci


露出が不快感を与えると掲示を断られた黒石寺の蘇民祭ポスター
 岩手県奥州市の黒石(こくせき)寺で繰り広げられる伝統行事、蘇民祭(そみんさい)の観光ポスターを市が駅構内に掲示しようとしたところ、JR東日本から待ったがかかった。「男性の裸に不快感を覚える客が多い」というのが理由だ。数十年作製しているポスターの掲示拒否は初めてで、市は枚数を200枚減らして1400枚とし、駅で張れない分は市内や首都圏で張るという。

 祭りは、市内水沢区黒石の寺で裸の男衆が蘇民袋の争奪戦を繰り広げる。疫病よけや五穀豊穣(ほうじょう)などを願い1000年以上続くとされる。今年は2月13日夜〜14日未明を予定している。

 ポスターは写真3枚を組み合わせ、ひげ面で胸毛の男性がアップに、奥に下帯姿の男性たちを配している。

 昨年11月30日に市がJR東日本盛岡支社に許可を求めた。JR側は本社の判断を仰ぎ、12月3日に図柄を変えない限り掲示できないと通知した。市は下帯など一部修正をしたものの、版下がほぼ完成しJRが求める図柄の全面変更は困難だった。

 JR東日本盛岡支社の佐藤英喜・販売促進課副課長は「セクハラが問題になる中、公共の場でのポスター掲示の基準は厳しくなっている」と説明する。そのうえで「単純に裸がダメというわけではないが、胸毛などに特に女性が不快に感じる図柄で、見たくないものを見せるのはセクハラ」と判断したという。

 奥州市水沢総合支所の佐々木禅(ゆずる)商工観光課長は「市と業者とで図柄を決めた後(の掲示拒否)で、日程的にも変更はできなかった」としたうえで「観光客が減るかもしれないが、市内に集中的に張ったり、首都圏の観光施設に掲示をお願いしたりして祭りを盛り上げたい」と話している。【石川宏】

最終更新:1月8日10時18分

 


 

<雑記帳>JR東が拒否した「胸毛ポスター」に人気 岩手
1月10日20時2分配信 毎日新聞

蘇民祭のポスターの発送作業をする商工観光課職員
 ◇「胸毛がセクハラ」とJR東日本が掲示を拒否した岩手県奥州市の黒石寺蘇民祭(こくせきじそみんさい)のポスターの人気が急上昇。報道を受けて市に注文が殺到し、市職員は発送作業に追われている。 

 ◇「趣味的な申し出はお断りするが、祭のPRになる場所には送る」と担当の佐々木禅課長。「居酒屋に張りたい」「商店街ごと応援するので12枚」など、全国への想定外の発送は100枚に達した。

 ◇残りは約200枚。「ポスターも図柄で不愉快になると勉強になった」と胸に刻みながらも、「JRさんにはご迷惑をかけたが、かえってPRになった」と胸をなで下ろしていた。【石川宏】

 


 

<スピアーズさん広告>東京メトロが一転、無修正掲示認める

 妊娠中の米国の人気歌手、ブリトニー・スピアーズさんのヌード写真を表紙に使った月刊誌の広告が「刺激的すぎる」と腹部から下を隠す修正を求められた問題で、東京メトロは24日、一転して修正なしの掲示を認めた。再審査で「あまり刺激性を感じない」と判断したという。
 修正を求められていたのは、「ハーパース・バザー日本版」(エイチビー・ジャパン、本社・東京都新宿区)の広告。10月号の表紙で、おなかの大きなスピアーズさんが胸の前で腕を組み、ほほ笑んでいる写真だ。
 雑誌社とメトロは今月11日、おわびの書かれたシールを張って腹部から下を隠すことで合意していた。ところが、メトロは再審査の結果として、24日に「あまり刺激性を感じない」として、原案通りの掲示を認めた。
 毎日新聞が23日夕刊で報じたところ、賛否両論約40件の反響が寄せられたが、メトロは「報道とこの決定は無関係」と説明している。同誌の村上啓子編集長は「最後まで表現の自由を求めたことがこの結果につながった。東京メトロにも感謝したい」と話している。【田村彰子】
(毎日新聞) - 8月24日22時1分更新

【関連リンク】
http://www.j-cast.com/2006/08/24002690.html