ギャラリー・エフが中国とヨーロッパをつないで進行しているプロジェクト「字坊」の企画した本『殉情物語 トンパ文字に秘められた愛の物語』が2005年3月、出版されました!
 雪のようにまっしろな表紙に、常春の空を思わせるブルーのタイトル。現在、書店で平積みされていますので、ぜひ手に取ってみてください。(エフ店頭でも販売しています)

2005年7月10日(日)NHK BS-2 『週刊ブックレビュー』にて中上紀さんが紹介して下さいました!


 

 18世紀の前半、漢民族の支配によって、母系社会と通い婚による自由恋愛を禁じられた雲南省の少数民族ナシ(納西)族に生まれた「殉情死」という概念。ナシ族の人々は、人間も動物も山も川も花も、すべての命あるものは兄妹であり同じ魂であると信じています。感情、とりわけ愛情を大切にする彼らは、結婚という契約を受け入れず、魂の結びつきだけを信じて第三の楽園へと旅立ちます。
 恋人たちが凍結させる究極の愛のかたちとは。そして彼らがいのちをかけて守りたかったものとは。

殉情物語
トンパ文字に秘められた愛の物語

字坊RED + 王 超鷹 著
技術評論社 1,554円(税込)

原案・画王超鷹
構成・執筆字坊RED({山口 剛/Izumi/Mahiro} ギャラリー・エフ)

書店またはネットにてご注文、検索の際には「情」とお間違えのないよう!
「情に殉じる」の「情」です。エフ店頭でも販売しています。


 

 ナシ族の祭司トンパたちによって伝承されてきたこの愛の物語は、その美しさゆえに心中の手本と見なされ、長いあいだ詠うことを禁じられてきました。この『殉情物語』を、王超鷹が復元したカラーのトンパ文字による原典とともに、各ページにちりばめられた隠喩や真実の背景を詳しく解説しています。「心中」という言葉では片付けられない、愛と智恵と希望に満ちたナシ族の世界観は、私たちにたくさんのたいせつなことを教えてくれます。

 

 

母につながる幾千のいのちたちよ
いつかあなたの足下を横切る 二匹の蟻が私たちです
いつかあなたの屋根に芽吹く ふたばの草が私たちです
いつかあなたの川底に眠る ふたつならんだ石が私たちです
あなたのいのちを取り巻く すべての小さなもののなかに
私たちはいつもいます

(第1章本文より抜粋)


 

エフ・スタッフからのメッセージ

山口 剛(構成/第2章〜4章執筆)
 海外から文字が伝わってくるとき、その文字を使った詩や小説など文学も紹介されるのが一般的です。ただ、数年来、日本でブームになっている『トンパ文字』は文字だけがひとり歩きしてきました。『殉情物語』は、トンパ文字を使ってきたナシ族の文学です。豊かな自然と深い知恵、そして人々の素直な心が育んだその世界には私たちがまだ見ぬ愛のかたちが描かれています。
 遠い国の遠い昔のお話。でも、あなたの心のかたわらにあるべき物語かもしれません。

Izumi(第1章執筆)
 『殉情物語』を復元し執筆した王さんの、「日本の読者によりその世界観を伝えたい」という気持ちをもとに、物語に潤色しました。母系社会における女性たちのしなやかなたくましさ。大自然を尊んで生きる人々のすなおさと智恵。弾圧に対して武器で戦わないやわらかさとかなしさ。男女同権を叫びながら、女性が男性化したり男性が女性化して対立し合っている私たちの社会が、戦いをやめることのできない世界が、見習うべきことがたくさんあります。
 ナシ族の人たちは、失恋したり恋に悩んだりすると、湖へ行ってひとり歌を歌って気持ちを整理するのだそうです。この本を読んで下さるみなさんが、雲南省から届くあたたかい風に包まれて、すなおな自分の心に出会えますように。

Mahiro(総合ディレクション)
あなたを遠くで想っている山々があります。風が吹きます。人がいます。
きれいな本が出来上がりました、かわいがってあげてください


 

作者紹介

王 超鷹(おう ちょうよう)
1958年中国上海生まれ。工藝職人の登竜門である上海工藝美術工業中学を卒業後、剪紙(切絵)や伝統絵画を中心に工藝職人としての道を歩み始める。76年、20歳で中国全国工藝美術展に入選。79年、工藝美術設計師となる。87年来日、武蔵野美術大学大学院修了(視角デザイン学)。
96年、長年あたためてきたトンパ文字の研究を、『トンパ文字 生きているもう一つの象形文字』(マール社)で発表。日本における「トンパ文字ブーム」の先駆けとなった。
著書に『篆刻文字』(シリーズ全6巻、マール社)『日本現代広告術』(上海図書館)など多数。

字坊RED(じぼうレッド)
芸術家であり文字研究家でもある王超鷹とともに、アジアの伝達手段である象形文字をモチーフに、人と人を結ぶコミュニケーションの可能性を探求するプロジェクト。日本ではギャラリー・エフのスタッフを中心に、国籍を超えたメンバーたちが、美術、工芸、出版、服飾、音楽など様々な表現活動を行なっている。2004年7月にはオーストリアの陶芸家トーマス・ボーレの展覧会『丹雅 Dan Ya』を上海の半島美術館で開催。陶芸と古代文字「雅体」のコラボレーションを実現した。


 

関連サイト

字坊 jibo ホームページ

2002年、ギャラリー・エフにて開催した
王超鷹による『殉情物語』トンパ文字原画の展覧会『風流風情』

ナシ族の伝統歌とテクノ・アンビエントが世界初融合
CD『TOMPA』好評発売中(2,835円)
金 大偉

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