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ギャラリー・エフの土蔵は約 140 年前の慶応4年(1868年)に浅草・雷門で材木商を営んでいた一家が建てたものです。浅草周辺を含む下町地域は、関東大震災(1923年)と東京大空襲(1945年)で二度焼き尽くされましたが、堅牢なつくりの土蔵はその大火をも耐え抜きました。
柱や梁(はり)には太いヒノキやマツが惜しみなく使われており、江戸の左官職人が漆喰を丁寧に塗り上げた土壁は厚さ30センチに及びます。
千度を超える災から家財を守り、土蔵本来の目的を果たしたこの建物は、表現の場として活用されるようになってから、まったく別の機能においても注目されるようになりました。それは、音響空間としての質の高さです。

ギャラリー・エフの土蔵では、これまでに約130のライブイベントが行われてきました。そのジャンルは、薩摩琵琶、民謡、笙、尺八などの日本伝統楽器、インドやアフリカなど世界の民族楽器、ジャズ、シャンソン、クラシック、講談、朗読など多岐に渡ります。そのほとんどが、スピーカーを通さない生音による演奏です。木と土という天然素材に囲まれた空間は、呼吸をするかのように様々な音の響きをしっかりと受け止め、柔らかな音質に変換し、消えゆく余韻まで聴く者の耳に届けてくれます。

この土蔵が織りなす音の世界を存分に味わっていただく機会が今年で9回目を迎えるライブイベント「月夜の森」です。ビルの建ち並ぶ街にひっそりと佇む異空間の中で、闇と静寂から生まれる音に出逢う夜。定員わずか25名という贅沢な環境で、それぞれの世界の一線で活躍する奏者たちの鼓動に触れるような親密な時間をぜひ体験してください。

ジャズ公演のみ併設のバースペース含め定員40名。


銀河万丈朗読の会『ごんべん』別会 2008


 

この濃密な空間で、間近に観客に囲まれている演奏家たちは、どんな気持ちで演奏しているのでしょう。彼らの心と体には、どんな音が還ってきているのでしょう。
ギャラリー・エフで演奏してくださっているミュージシャンの方たちから、この空間での音体験をテキストで寄せていただきました。
(到着順に掲載)

サックス奏者の三木俊雄さん(2003年第2回〜)

浅草は不思議な街だ。
多くの観光客が訪れると同時に、
そこに代々暮らす人々の温もりが感じられる街。
決して流行の先端を走る訳ではない、その感じが僕をホッとさせてくれる。
そういった意味での浅草の魅力を最も感じさせてくれる場所、それがGallery ef。
この蔵の中で演奏していると、ここが何処で、今が何時なのかを忘れてしまうような錯覚に陥る。
ひんやりとした暖かさとでもいう空気の中で、観客は思い思いの格好で生の音に触れる。もちろん僕たちもその一人だ。
日常と非日常をつなぐトンネルのようなこの空間、この時間を、多くの人に体験してもらいたいと思っています。

三木俊雄

三木俊雄 プロフィール
LINK: 三木俊雄

タブラ奏者のU-zhaanさん(2006年第5回〜)

タブラ、という打楽器を叩いています。
太鼓なのですが、決して大きな音の楽器ではなくて、だいたいいつもマイクでできるだけ音量を増幅して演奏しています。
音響装置を使わないライブ、今年もやっぱり一度もなかったな。

年に一度だけそんな音量のストレスから解放されて、生音でのびのびと演奏させていただけるのがギャラリー・エフです。
なぜ一人で家で叩いているときよりも、小さな音がクリアに聴こえてくるのだろう。魔法かな?

今年も楽しみです。

U-zhaan

U-zhaan プロフィール
LINK: U-zhaan

シタール奏者のAki Uedaさん(2006年第5回〜)

(C) Seizo Terasaki

ギャラリー・エフの蔵の中で演奏すると、小さな「宇宙空間」にいるような感じがします。「胎内」とも言えるかもしれない。
まず物凄く落ち着きます。僕は結構緊張するので、よくも悪くもお客さんの前というのは身構えてしまう。でも、蔵での演奏は自分もお客さんもイコールな状態で存在している気がします。
たまたま僕はそこで音を出している立場だけど、その音と空間を共有しているのは、お客さんと全く変わりがない。誰が音を出していようが、関係ないような状態。みんなで宇宙船に乗っているようなつもりで、一緒に2時間の旅ができたらいいなあと思っています。

Aki Ueda

Aki Ueda プロフィール
LINK: Aki Ueda

笛奏者の雲龍さん(1997年〜)

(C) 龍村仁事務所「地球交響曲第六番」

蔵の中で、おもうこと。
初めて演奏をさせていただいた時から、この蔵の中には、精霊を感じます。
大きな扉を閉めた時から、お母さんのお腹の中のような、優しく包まれた気持ちになります。
一階の床は黒漆で、二階は朱漆が塗られています。
扉を閉めて、かすかな光りの中での演奏は、空に浮いた感じで、定員25名の小さな空間ですが、不思議な広がりを感じます。
ある時は森の林の中に、静寂な月の光りを感じ。
またある時は、深海の波のただよいを感じます。
ノアの箱船に乗ったかの様に、どこか見知らぬ場所に通じて行く世界を感じます。
笛の音は、蔵の壁をつたわり、天井から蝶が舞い降りて来るような響きを感じます。
自分の音の成長を肌で感じられ、初心の気持ちを大事にと、毎回思わせていただきます。
この蔵は、全ての宇宙に繋がっている、そう私は感じています。
みなさまとこの蔵で、またお会い出来ますように・・・。

雲龍

雲龍 プロフィール
LINK: 雲龍

 

2階席のご案内について

公演によっては、定員を超えた場合でも2階席に数名様ご案内できます。

2階の床板には約 75×80 cm の吹き抜け部分があり(写真の格子部分)、角度によっては奏者の姿は見えませんが、演奏は聴くことができます。
定員は約6名ですので、2階でゆったり聞きたいとご希望になる方もいらっしゃいます。

チケット代金は同じです。
終演まで階下へは降りられません。お子様連れのお客様はご案内できません。
開演時間に遅れて見えますと、2階へのご案内ができませんのでご入場いただけません(1階も満席のため)。

 


 

過去の演奏会や感想などはこちら↓

'98 LIVE MONTH
'02 月夜の森1
'03 月夜の森2
'04 月夜の森3
'05 月夜の森4
'06 月夜の森5
'07 月夜の森6
'08 月夜の森7
'09 月夜の森8

琵琶の世界に触れる会『花一看』アーカイヴ